US日記15. 1月のユタを襲う逆転層と雨氷
1月のユタを初めて経験しました。
山の方が暖かい
まず驚いたのが、逆転層(Wikipediaの説明)という気象現象。
ユタ(のワサッチフロント)は四方を山に囲まれているので、寒い空気が閉じ込められて停滞した状態の上側に暖かい高気圧が来ることがあります。通常は高度が上がるほど気温が下がりますが、逆に上に行くほど温度が上がるので、逆転層 (Inversion) と呼ばれます。
スキー場に行ったところ、確かに霧が晴れて空が青くなり、気温が4度ほど高くなりました。10度近く上がることもあるそうです。
風が来ないと冬スモッグが発生
逆転層によって空気がフタをされた状態になると、車や工場から排出される微粒子が閉じ込められます。
この状態で風が無い日が続くと空気の汚染が進み、スモッグが発生して視界が悪くなります。
ひどい時には子どもや老人、肺が弱い人は屋内に留まるよう推奨されます。天気予報では、空気のクオリティについても言及されます。
まるで最近の中国のように聞こえますが、年中発生するわけではなく、主に1月に発生し、数日後に風が来ると解消する一時的な現象です。
空気や水を大切に
気候や地形は変えられないので、車を減らして空気をなるべく汚さないようにするしかありません。
そこで、ユタの人は空気を汚さないように気をつけています。
2012年にはFront Runnerという電車の路線延長が完了しました。
車の利用が減ることが期待されています。
ランチなどで外出する時は、なるべく誰かの車に乗り合わせ(carpool:動詞)ます。
Carpoolして通勤すると、手当や駐車場の優先スペースなど、いろいろメリットが受けられます。
ユタは砂漠気候なので、水は貴重です。冬の間に積もった雪が夏と秋にゆっくり溶けて飲み水になるので、雪が降ると「次の夏の水を確保できそうだ」とポジティブに語られます。
登山の際は、犬や馬(馬に乗ってトレイルを散歩する人もいます)のフンで水を汚さないように気を遣います。
凍らない雨により道路がスケート場に
1/23には珍しいFreezing Rain(雨氷)が降り、フリーウェイでは事故が多発、空港も一時閉鎖されるなど交通が混乱しました。
逆転層により上層が暖かくなるので、雪ではなく雨が降ります。
ところが、地表付近の空気が氷点下なので雫が冷やされ、0度を超えても凍らない超冷却状態のまま着地と同時に凍るという現象です。地面、車、建物、植物などの表面が氷の層に覆われます。
この氷の層は雪と違って透明なので判別しにくく、道路は特に危険です。
写真:Deseret Newsの解説記事・Fox 13のニュース記事
除雪は大人のマナー
USでは一般的なガレージは、雪が降る冬に重宝します。車が大きいので最初はドライブウェイ(道路からガレージまでの道)に置いておいたところ…
車が雪で覆われてしまいました。
朝に車の掃除をするのが大変なので、注意深くガレージに入れてみました。ドアミラーをたためば何とか入ります。
朝には雪が溶けて、洗車したようにきれいになってました。
ところが、今度はドライブウェイが雪だらけに…。
ちりとりで奮闘していたところ、隣の人がスコップを貸してくれました。
踏み固められる前に除雪すれば楽で、かつ昼に日光で溶けるようになるんだとか。
団地のニュースレターには「Drivewayの除雪はあなたの責任」と書いてあります。配達の人や通り過ぎる隣人の安全も考え、滑らない状態にしておくのはマナーなんですね。