これまで7回の転職活動で活躍してきたキラースライドを、万を時して(?)ダウンロード公開します。パクり、改変、活用などご自由にどうぞ。クレジット表記もコンタクトも不要です。

なぜ作ったのか?

日本では転職回数が多いと、飽きやすい、無責任、協調性がない、とネガティブに捉えられてしまうことがあります。また、職務経歴書が長くなり、ポイントが伝わりにくくなります。一度、職務経歴書を要点のみに絞って短く書いたことがあるのですが、今度は経験の深さや広さが伝わりにくくなってしまいました。

そこで、職務経歴書は事実を淡々と記述したものとして位置付け、面接用にプレゼン資料を作ることにしました。

特に、面接は15分程度でせっかく自由に自己アピールできるので、職務経歴書の時系列という軸や紙面の制約、図を入れられないという制約から解放され、伝えたいポイントを効率良く的確に伝えたい。そのためには、面接官の視線を職務経歴書から離し、トピックの選択と順番、時間配分、キーメッセージを自分でコントロール、つまり自分の土俵で勝負できるようにする必要がある、と考えました。

その後、5回の転職を経て、資料の内容や構成、表現を改善しつつ、精度を高めていきました。
結構役に立つことが実証できたので、思い切って公開します。リアルなサンプルデータ入りです。

ダウンロードはこちら:career-overview.pptx

このPowerPoint資料の使い方

まず明確にすべきは「相手に何をアピールすべきか?」です。それは業種、会社のカルチャー、職種、職位、面接官のパーソナリティによって変わるので、いつも同じだと効果が無いどころか、逆効果になることもあります。内容を毎回見直すだけでなく、一部のページのみ見せる、あえて一切使わない、という臨機応変な対応が必要です。

バリエーションの例:勤務先の規模と種類の広さを伝えたい場合

勤務先の規模と種類の広さを伝える図

このスライドを見せながら、以下のようなアピールが可能です。

「ちゃんと長く務めたこともあります。」

と、まず安心させてから、

「国内レガシー企業も外資企業も慣れているので柔軟に適応できます。」

と中立の立場で柔軟性を強調するか、または応募先企業に応じて

「いろいろ経験しましたが、自分には[大企業の底力|ベンチャーの開拓精神|意思決定できる国内発の企業]が向いていると分かりました。」
「スタートアップの混沌を整理し、開拓するのが好きなんです。」

などと採用を正当化できる根拠へと導きます。

ベンダーやサービス提供側に転職したい場合は、

「相手の事情を理解した[協業|提案]ができます。」

とスタンスを移動させるのも良いでしょう。

私の場合は国内/外資、従業員数、という切り口にしましたが、結果的な変動に幅が無いと、文字で並べただけの場合とあまり変わらなくなってしまいます。デコボコ、または右肩上がりになり、違いが浮き彫りになるような軸を見つける必要があります。

切り口の例:

  • 規模:従業員数、売上、資本金、業界での順位、部下の人数
  • 知名度:ブランドランキング、上場ステータス
  • 地域:本社所在地、勤務地、世界の拠点数、上司の国籍、海外出張回数
  • 業務内容:業界名、職種
  • 自分の力:TOEICスコア、制約数、自分の売上

このうち、数値化できる指標を一つか二つ、縦軸に設定します。地域や上場ステータスのように数値化できないメタデータは、アイコンやテキストをグラフの上にプロットします。

バリエーションの例:職域の広さやカバー率をアピールしたい場合

キャリアの幅の広さを伝える図

時系列で変化や方向性を伝えるのではなく、全体像の中での網羅性を強調したい場合に。
私の場合は、ビジネスに必要な要素をベン図で表し、自分が経験した部分を丸で塗りつぶしています。「技術/Technology」「UX/制作/デザイン」「マーケティング/ビジネス」などと表記は相手によって変えています。

この要素の切り口や数も人や職種によっていろいろなパターンがあります。
例:

  • 事務/営業/経営
  • 実行/企画/管理

軸を設定したら、大きなフェーズに分けて方向性を明確に打ち出すのもオススメです。

キャリアの方向性を伝える図

バリエーションの例:組織におけるポジションの移動を伝えたい場合

組織におけるポジションの移動を伝える図

単に組織を上層へ登ってきたことを示すだけだと図解の意味が無いので、私の場合はB2B(受託の制作/コンサルティング)からB2C(事業会社、サービス提供側)への遷移を正当化するための右斜めの軸を設定しました。

「決められたモノを作るだけ」
 ↓
「どう作るべきかの設計」
 ↓
「何を作るべきかの企画と提案」
 ↓
「自分で意思決定できる側へ」
 ↓
「正しい経営判断を促せる立場へ」
という流れです。

このように自分の目指す方向をうまく伝えないと、「狡猾に上を狙ってきた」「自分勝手」と思われてしまうリスクがあります。
このスライドは相手が管理職の場合に「自分も人を使う側を経験してきた」と親近感を醸成するために使うことが多いです。

面接の時に注意すべきこと

  • 面接相手の職種、職位から何が刺さるかを想像しつつ、資料をカスタマイズしておく
  • 面接時は、話の流れや相手の反応をみながらどのスライドを見せて何を話すのかを判断する
  • そのために事前送付をしないで、当日に紙で見せるだけにする
  • 面接で使った後に更新しておく

次の転職活動はいつになるか分からないので、忘れないうちに実体験に基づいた修正を加えておきます。この資料は転職を繰り返すごとに精度が高まっていきます。転職活動とキャリアの成果物、集大成といえます。
また、描くだけでも自分の過去/現在/将来について整理できるのでオススメです。そういう意味では、人生のコンセプトダイアグラムともいえるでしょう。

今回ダウンロード公開したものはあくまでサンプルなので、考えたり書いたりしながら再構築してみてください。