コンセプトダイアグラムは、顧客の心理・態度の変化と、その変化を促す企業の施策を図解し、顧客理解と施策評価につなげるフレームワークです。

顧客が企業の想定どおりに直線的に行動することを表す図ではありません。顧客についての仮説、チーム内の認識、企業が提供している施策、検証に使うデータを一枚につなぎ、何が分かっていて何が未検証なのかを明らかにします。

コンセプトダイアグラム解説

何のために使うのか

主な用途は次のとおりです。

  • 顧客が目指す状態と、そこへ至る心理・態度の変化を共有する
  • 施策を顧客の状態変化にひもづけ、抜けや偏りを見つける
  • 部門や担当者によって異なる顧客像を可視化する
  • 調査やデータ分析で検証すべき仮説を明らかにする
  • 施策単位の実績だけでなく、顧客の変化を評価する指標を設計する

図をきれいに完成させること自体が目的ではありません。顧客理解と事業改善のために、検証しながら更新できる共通言語をつくることが目的です。

現在の構成要素

公式の必須項目は、対象顧客、スタート、ゴール、2つの心理軸、顧客状態、状態変化、施策、評価指標の8つです。

過去の資料では、これらを5つ程度の大きな分類にまとめたり、中間の顧客状態を「ステップ」「箱」と表現したりしていました。現在は、描く作業の手順と区別するため「顧客状態」と呼び、図を検証可能にする評価指標までを必須項目として明示しています。

詳しい定義はコンセプトダイアグラムの必須8項目で説明しています。

カスタマージャーニーマップとの違い

2018年のこの記事では、カスタマージャーニーマップを主に「顧客行動と接点を時系列で整理する手法」として捉え、コンセプトダイアグラムとは目的や描き方が異なると説明していました。その比較は当時よく見られた使い方を説明するには有効でしたが、現在のカスタマージャーニーマップの実務は、感情、課題、機会、将来像、組織の対応まで扱うなど幅広くなっています。

そのため、現在は新旧や優劣ではなく、主に何を整理軸にするかが違うと説明しています。

カスタマージャーニーマップ コンセプトダイアグラム
主な整理軸 時間、行動、接点、感情などを目的に応じて選ぶ 2つの心理軸上で、顧客の心理・態度の状態と変化を整理する
主な焦点 顧客体験の経過、接点、課題、改善機会など 企業が実現したい顧客の変化、それを促す施策、評価方法
構造 時系列を中心にした形式が多いが、目的により多様 スタートとゴール、2軸、中間の顧客状態、状態変化を基本とする
使い分け 体験の流れや接点を詳しく理解したい場合に向く 心理・態度の変化を軸に施策と評価を設計したい場合に向く

両者は排他的ではありません。コンセプトダイアグラムで顧客状態と変化の仮説を整理し、特定の状態や場面をカスタマージャーニーマップで詳しく調べるなど、目的に応じて併用できます。

詳しくは公式FAQのカスタマージャーニーマップとの違いを参照してください。

由来:サイト設計の手法から顧客理解へ

原型は、1990年代後半に米国のWebコンサルティング会社でインフォメーションアーキテクトが使っていた図解手法です。コンセプトモデル、エクスペリエンスモデルなどと呼ばれることもありました。ビジネスモデルに直結する成果物だったため公開例が少なく、人やプロジェクトによって描き方も異なっていました。

私はScient、Sapient、Razorfishで他のプロジェクトの成果物にも触れた経験を踏まえ、この考え方をデータによる事業評価、顧客理解、マーケティングやCRMの設計へつなげられるよう再構成し、2008年から「コンセプトダイアグラム」として提唱しています。

その後の実践を通して、用語、構成要素、顧客状態数の考え方を更新してきました。古い記事やセミナー資料と現在の説明が異なる場合は、コンセプトダイアグラム公式サイトの情報を優先してください。

次に読む