2012年の4月になって、11歳(小学5年生)の子どもからのメッセージに絵文字が入るようになりました。iPhoneのキーボード設定で「絵文字」を見つけたようです。

2012年5月10日に届いた12個のアート作品(?)を紹介します。

子ども絵文字アート#1

車やバスは信号で止まっているのに、中央を走る電車は高速で駆け抜けていく様子が描写されています。
単線で1車両しか無いので、どこか牧歌的です。懐かしい感情が引き起こされます。

千葉県の鉄道事情が反映された見事な描写です。

子ども絵文字アート#2

今度は高級指輪やバッグを盗んで車で逃走する犯人を警察が追いかけている、都会的でダイナミックな作品です。ニヒルな笑みを浮かべたフェイスマークは「フフフ、そんな速度で追いつけるのかい?」などと考えているように見えます。

車が赤いだけで、すごいスピードで疾走している様子が表現されています。怒って追いかけるパトカーと警官の左側には止まれサインが。これは物理的に存在するわけではなく、犯人と警察の間の縮まらない距離が比喩的に表現されています。

種類が少ないという制約の中でベストな選択をし、メタファーを使いながら総合的な世界観を表すというテクニックを一体どのようにして身につけたのでしょうか?!

子ども絵文字アート#3

高級指輪とバッグにダイヤモンドを追加し、新たなストーリーが展開されています。今度は青年がキラキラ光る高級品を女性にプレゼントして感謝されるというシーンです。先ほどの泥棒と同じ顔ですが、今度はキザな青年に見えます。ダイヤや指輪はキラキラ輝いています。「ありがとう!」と手を合わせて感謝する女性の喜びが、「パンパカパーン」と花火やバルーンによって強調されています。同じ絵文字でも、コンテクストによって見え方や意味が全く変わるんですね。

子ども絵文字アート#4

個別要素を組み合わせて大きなものを表現するという新境地を、度肝を抜くホラーなテーマで開拓しました。よく見るとありえない組み合わせなのですが、不良な感じのタバコと煙、血が滴る注射器、中世の呪いを想起させる王冠、を使って世界観がうまく表現されています。
足下のスニーカーで、ゆっくりと恐ろしげに歩いている様子が立体的に表されています。
青いシャツとネクタイによって恐ろしさが強調されているように見えるのはなぜでしょう?

パパは「すごいね」などと反応してしまった自分の底浅さを反省しました…。

子ども絵文字アート#5

サンタが子どもの枕元にプレゼントを置いて、子どもの幸せを祈るという時間軸や因果関係、感情を考慮した作品です。プレゼントとサンタの間に距離があるのは、近いと子どもが起きてしまうので忍び足で家を離れたためでしょう。
寝ている間にこっそり置いて去るというサンタの見返りを求めない深い慈悲が、連続したツリーによって表現されています。

子ども絵文字アート#6

人質と立てこもった銀行強盗シーンでしょうか?興奮した犯人に銃を突きつけられ、恐怖におびえてパニックに陥った人質と、床に伏して事件が終わるのを冷静に待つ人々がレイヤーで上下に分けられています。

一方、右下にはお金を手にして単純に喜ぶ犯人の仲間が。これから待ち受けるであろうカーチェイスや逃亡生活、捕まった場合のことなどは考えていないのでしょうか。4種類の異なる性格がシチュエーションの中で対比的に描かれています。世の中にはいろいろな人がいる、ということでしょう。

子ども絵文字アート#7

表情によって性格を描写するテクニックを別のテーマで試みています。タバコで火をつけた右下の人が、「困った顔の人」ではなく「心を失ったサイコ」に見えるのが不思議です。

子ども絵文字アート#8, #9

動物園でペンギンを見て喜ぶ観光者でしょうか。

その次の作品では、無人島で宝を見つけて喜ぶ探検者に忍び寄るトラ、とテーマが変化しています。「目の前のことに一喜一憂していないで周りを観察しよう」という教訓が込められているようです。

子ども絵文字アート#10

アフリカのサバンナに猛獣のトラが!と思ったら、追われる草食動物が集まって逆にトラを追いつめているようです。子どもを守るために親が身を挺しているのでしょうか?気のせいか、トラの顔が困った顔に見えます。

子ども絵文字アート#11

追われるテーマから派生し、荒波にもまれて転覆しそうな船が描かれています。前後や左右ではなく、上下という軸を初めて使った作品です。船は4艘描き込まれていますが、実際に4艘いるわけではなく、1艘の船が右に左に押し流される軌跡が躍動感と共に表現されています。

子ども絵文字アート#12

時計を発見。毎時間ごとの絵文字が用意されているんですね。これは習作です。

子ども絵文字アート#13

深夜からお昼までの12時間の行動を描いた生活感あふれる作品です。朝の7時まで寝ていて、朝ご飯を食べて家を出発し、てくてく歩いて小学校に向かいます。ラーメンの絵文字がみそ汁にしか見えないのが不思議です。

まとめ

以上、5/10に子どもから届いた絵文字作品を全て紹介しました。iPhoneの絵文字を見ながら想起したストーリーを制約の範囲でクリエイティブに描く子どもの行動にパパは感銘を受けました。制約を目の当たりにして、大人はいろんなことを諦めてしまっているのかもしれませんね。

次回は、絵文字を使ったしりとりについてです。