EUはCookie Lawにより明示的なオプトインが必要になりましたが、USではオプトアウトの「Do Not Track」が支持を集めつつあります。Googleを中心に広告業界による華麗なスルーがしばらく続いていましたが、オバマ政権が2012年2月に「Privacy Bill of Rights」を議会に提出したことで、業界が動き出しました。最近の動きとしては

2012-02-23

GoogleがChromeにDo Not Trackの機能を実装することを発表(Firefox、IE、Mac OS 10.7 Lion上のSafariは既に対応済み)- WSJ記事

2012-04-02

Yahoo! Web Analyticsが夏にはDo Not Trackをサポートすると表明
(その後、6/12にYWAのサービス自体を8月いっぱいで終了すると発表)

2012-05-12

TwitterDo Not Trackのサポートを表明

2012-05-31

マイクロソフトInternet Explorer 10のDo Not TrackをデフォルトでONにすると発表 →広告業界から批判が巻き起こる

2012-06-03

オープンソースの解析ツール「Piwik Analytics」が最新バージョン1.8でDo Not TrackをデフォルトONにしたと発表

2012-06-06

W3C**がDNTのドラフトに「ユーザーによる明示的な同意なくDNTを設定するのはW3C仕様に準拠しているとは言えない」と追記(ドラフトなので、最終決定ではない)

An ordinary user agent MUST NOT send a Tracking Preference signal without a user’s explicit consent.

参考:Wired解説記事

一方、EUは「ブラウザの仕様はユーザーの意図とは無関係。デフォルト設定まで規定するのは行き過ぎ」というレターをW3Cへ送付

参考:ClickZ記事

2012-06-12

セキュリティソフト「AVG Anti-Virus Free Edition 2012」「AVG Internet Security 2012」がCookieを無効化できるDo-Not-Track機能を実装

参考:PCMagのレビュー

まだ議論が継続中

EUからの圧力、オバマ政権の積極的な推進を受け、W3Cでは7か月も議論が続いていますが、未だに合意には至っていません。論点は、

  • ブラウザのデフォルト状態をどう解釈するか
  • ターゲティングを停止すれば良いのか、それともデータ収集も停止すべきか
  • サードパーティCookieのセットはOKか

プライバシー保護派と、データ収集まで禁止するとオンライン広告の成長に悪影響を与えるという慎重派の間で議論と歩み寄りが続いています。

このW3Cによる自主規制が年内にまとまらなければ法規制が必要になる、と政権はプレッシャーをかけています。来年頭にはさらに動きがありそうです。

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